「残業代ゼロ」の歩合給制度とは・・・
給与明細に「残業代」等の記載があっても、歩合給の計算で「残業代」等を控除する制度のこと。
タクシー業界では、オール歩合型賃金といわれる賃金体系が採られていて、実質的には残業代が支払われていない場合が少なくありません。
つまり、歩合給を計算した上で、その一部分を時間外手当、休日手当、深夜手当等の名目に振り分けて支払い、残りの金額を「歩合給」として支払っているのです。このように計算すれば、給与明細の記載では、時間外手当、休日手当、深夜手当等の割増賃金が支払われているように見えますが、実際には、どれだけ時間外、休日、深夜労働をしても、名目上の割増賃金が増えた分だけ「歩合給」の金額が減ることになり、賃金の支給総額は変わらないことになります。つまり、賃金支給総額は、売上げ(揚げ高)×歩率で計算されて決まり、割増賃金は実質的には支払われないという「残業代ゼロ」制度です。このようなやり方で、実質的に割増賃金を支払わない「残業代ゼロ」の歩合型賃金は多くのタクシー会社で採用されており、また、他の業種にも例があります。
では、どうすれば?
もしかしたら、私も残業代等を不当に差し引かれているかも?
と思ったら暁法律事務所へ相談を!
弁護士が、あなたの会社の賃金制度が違法かどうかを判定します。
① 暁法律事務所に法律相談(有料)を申し込んでください。相談日時を決めます。
② 質問用紙に回答を記入し、給与明細書等の資料を事前に暁法律事務所に送付してください。
③ 法律相談(面談)で、弁護士が、あなたの会社の賃金制度が違法かどうかを判定します。
④ 会社の賃金制度が違法であることが判明したら、会社から残業代等を取り戻す方法を検討します。
労働組合に加入し、仲間を増やして、会社に団体交渉を申し入れましょう!
① 残業代等を取り戻すために、労働組合・日本労働評議会(労評)に加入してください。労評は、一人でも加入できる労働組合です。
② 労評の事務所に来てください。組合加入手続きと、仲間作り、団体交渉申し入れなどの方法について相談します。
③ 可能であれば、あなたの周りの人に、「労働組合に加入して、一緒に残業代を取り戻そう。」と呼びかけ、労評○○会社分会を結成します。あなたから、呼びかけることが難しい場合には、労評として呼びかけます。
④ 会社に労評分会結成を通知し、団体交渉を申し入れます。会社は、労働組合である分会結成を拒否できませんし、団体交渉を受け入れる義務があります。
⑤ 労評と労評○○会社分会として、ホームページ、ビラまき等の方法で、仲間を集めます。
⑥ 会社との団体交渉を行い、残業代等を支払うように求めます。
不払残業代等を支払わない会社に対しては、集団訴訟を提起しましょう!
① 団体交渉を積み重ねても、会社が不払残業代等を支払おうととしない場合は、訴訟の準備を進めます。
② 訴訟の原告団に加わることを全社の労働者に呼びかけます。組合(分会)に加入することが原告団に加わるための条件です。
③ 残業代等請求訴訟を裁判所に提起し、記者会見を行うなどして宣伝します。
④ 裁判で勝訴すれば、会社は残業代等を支払わざるを得なくなります。会社が確定した判決に従わない場合には、強制執行をします。
タクシー会社の国際自動車の場合、歩合給から残業代等を差し引くことにより、本来受け取るべき金額よりも年間約50万円(1人当たり平均額)も 少なく支払われていました。国際自動車のタクシー乗務員たちは、残業代等を取り戻す裁判を起こし、勝訴しました。判決は、会社に対して、1人当たり約100万円ずつの未払い残業代(過去2年分)の支払いを命じました。
あなたの会社でも、同様の方法で残業代等の不当な控除が行われていたら、あなたも未払い残業代等を取り戻すことができます。